DaVinci Resolveで書き出しは簡単にできる
DaVinci Resolveでは、正しい設定を行うことで、誰でも簡単に高画質な映像を書き出すことができます。
本記事では、DaVinci Resolveで書き出しする方法について具体的な設定内容や詳しく解説します。
DaVinci Resolveの書き出し方法
STEP1:書き出し準備
編集タイムラインで動画が完成しているかを確認しましょう。
音声や映像に問題がないか最終確認します。
タイムラインで特定の範囲だけを書き出す場合、イン点(Iキー)とアウト点(Oキー)を設定します。
動画をすべて書き出すなら、特に何もしなくてOKです。
STEP2:書き出し画面へ移動
画面下部のタブに「デリバー」というタブがあります。クリックして書き出し(エクスポート)設定を行う画面に移動します。
STEP3:書き出し設定
デリバーに移動すると、画面左側にレンダー設定が表示され、さまざまな設定項目が表示されます。
設定1:書き出しプリセットの選択
書き出しプリセットには、「Custom Export」や「H.264」、「YouTube」など色々なプリセットがあります。
ここでは、書き出し設定を細かくカスタマイズ可能な「Custom Export」を選びましょう。
それぞれのプリセットの詳細や選び方については見出し「プリセットの種類と選び方」で詳しく解説します!
設定2:「ファイル名」と「保存先」を設定
書き出しファイルの名前と保存先を設定します。保存先を指定する際は、横にある「ブラウズ」ボタンをクリックしましょう。
設定3:レンダーのクリップを選択
次に、レンダーのクリップを選択します。ほとんどの場合「単一のクリップ」でOKです。
- 単一のクリップ:タイムラインにある複数の素材を1つのファイルで書き出し
- 個別のクリップ:タイムラインにある複数の素材を別々のファイルで書き出し
設定4:ビデオの書き出し設定
「ビデオ」タブをクリックして書き出し設定を行います。
おすすめの設定は以下のとおりです。記載されていないところはデフォルトのままで問題ありません。
- フォーマット:MP4
- コーデック:H.264
- エンコーダー:Auto
- 解像度:1920×1080(フルHD)
- フレームレート:任意のフレームレート(24fps, 30fps, 60fpsなど)
- プロファイル:自動
- キーフレーム:自動
- Preset:バランス
フォーマット(MP4)
「MP4」は汎用的でほとんどのデバイスやプラットフォームで再生できる動画形式です。初心者はMP4を選べば、YouTubeやSNS、パソコンで簡単に再生できます。特別な目的がない場合、MP4が最適です。
コーデック(H.264)
「H.264」は最も広く使われている動画圧縮コーデックで、ファイルサイズと画質のバランスが非常に良いです。ほぼすべてのデバイスで再生でき、MP4と組み合わせて使うのに最適です。4Kなど高解像度の動画ではH.265も選べますが、互換性を重視するならH.264を選びましょう。
エンコーダー(Auto)
「Auto」は自動で最適なエンコーディング方法を選んでくれます。初心者は特に設定を変えず、「Auto」で問題ありません。
解像度(1920 x 1080 HD)
「1920×1080 HD」は、一般的に使われている高画質な解像度です。YouTubeやVimeoなどのプラットフォームでも標準的に使われています。もしファイルサイズを軽くしたい場合、1280 x 720(HD)も良い選択です。
縦長の解像度を使用
縦長の解像度は、TikTokやInstagramなど縦型動画を作る場合に使います。通常の横型動画ではチェックを入れないで問題ありません。
フレームレート
フレームレートは、1秒間に表示される静止画(フレーム)の数のことで、数値が高いほど映像が滑らかに見えます。素材に合わせて選ぶのがおすすめですが、フレームレートが高すぎるとファイルサイズが大きくなるので注意しましょう。
マーカーに基づくチャプター
チャプターを作る機能はDVDやブルーレイ向けの作業に使われることが多いです。一般的な動画作成では不要なので、通常はチェックを入れないで問題ありません。
品質(自動(高))
品質は自動で設定するのが簡単です。「高」を選べば画質とファイルサイズのバランスが良くなります。特に問題がない場合は「高」を使い、品質が必要な場合は「最高」、ファイルサイズを小さくしたい場合は「中」や「低」を選びましょう。
プロファイル(自動)
プロファイルはエンコーディングの細かい設定ですが、「自動」にしておけばDaVinci Resolveが最適な設定を選んでくれます。初心者は「自動」にしておけば問題ありません。
キーフレーム(自動)
キーフレームは動画圧縮の設定で、どのフレームごとに圧縮情報を更新するかを決めます。「自動」にしておけば、最適な設定が選ばれるため、特に変更せずに「自動」を選びましょう。
フレーム並び替え
フレーム並び替えは、特定の映像フォーマットで必要になることがありますが、一般的な用途では必要ありません。チェックを入れないで問題ありません。
Preset(バランス)
「バランス」はパフォーマンス(処理速度)と画質の間でバランスを取った設定です。初心者は通常、「バランス」を選んでおけば、処理時間と品質のバランスが取れて安心です。
詳細設定
「詳細設定」は、ビデオの書き出しに関してさらに細かい調整ができる項目です。アスペクト比やデータレベルなど変更できますが、通常デフォルトのままで問題ありません。
字幕設定
「字幕設定」は、動画hに字幕を追加する際に使用するオプションです。特に字幕を利用しない場合は、デフォルトのままで問題ありません。
>> DaVinci Resolveでの字幕(テロップ/テキスト)の入れ方
設定5:オーディオの書き出し設定
オーディオの書き出し設定では、コーデックに「リニアPCM」または「ACC」を選択します。他の項目はデフォルトのままにしておきましょう。
リニアPCM:非圧縮の高品質オーディオ形式。品質重視ですが、ファイルサイズが大きくなります。プロフェッショナルな用途で使用します。
AAC:圧縮オーディオ形式で、YouTubeやSNS、一般的な動画向けに最適です。音質とファイルサイズのバランスが良好です。
設定6:ファイル
ファイルの書き出し設定では、ファイル名やレンダー速度の調整が可能です。
特に変更する必要はないため、デフォルトのまま進めていきましょう。
STEP4:書き出しを開始する
すべての設定が完了したら、画面左下にある「レンダーキューに追加」をクリックします。
画面右側に指定した設定で書き出し(レンダリング)するタスクが追加されます。「すべてレンダー」をクリックすると書き出しが始まります。
書き出しが完了したら、指定した保存先で動画を再生して、正しく書き出しされているか確認しましょう。
プリセットの種類と選び方
各プリセットの概要と選び方は以下の通りです。
プリセット | 概要 |
---|---|
Custom Export | 完全に自分で設定をカスタマイズできるオプション。 特定の要件やフォーマットが必要な場合に使用。高度な設定を行いたいときに選択します。 |
H.264 Master | 高品質なH.264コーデックでエクスポート。 一般的な用途や高品質な動画保存に最適。YouTubeやSNS向けの動画作成にも使えます。 |
H.264 HyperDeck | Blackmagic DesignのHyperDeckデバイス向けに最適化されたH.264書き出し。 HyperDeckレコーダーで動画を再生したり保存する際に使用します。 |
H.265 Master | H.264よりも効率的に圧縮できるH.265コーデックでの書き出し。 高解像度の4Kや8K動画を、小さなファイルサイズで高画質に保存したいときに適しています。 |
YouTube | YouTube向けに最適化されたエクスポート設定。 YouTubeに動画をアップロードする際に手軽に最適な設定で書き出せます。フルHDや4K解像度が一般的。 |
Vimeo | Vimeo向けに最適化されたエクスポート設定。 Vimeoに動画をアップロードする際に使います。クリエイター向けのプラットフォームに合わせた設定です。 |
TikTok | TikTok向けの縦型フォーマットと圧縮に最適化。 短い縦型動画をTikTokにアップロードする場合に選びます。 |
Presentations | プレゼンテーション向けに軽量で再生しやすい形式に最適化。 プレゼン用に動画を作成する際に使用。軽量でスムーズな再生を重視。 |
Dropbox | Dropboxに直接保存できるエクスポート設定。 Dropboxで簡単に共有したい場合に使用します。オンライン共有向けにファイルサイズが抑えられています。 |
Generic | 特定のプラットフォームに依存しない汎用的な設定。 特に特定のプラットフォームに縛られず、一般的な用途でエクスポートする際に使います。 |
Final Cut Pro | AppleのFinal Cut Pro向けに最適化されたエクスポート。 DaVinci Resolveで編集したプロジェクトをFinal Cut Proで続けて編集する場合に選びます。 |
Audio Only | 音声データのみを書き出す設定。 映像なしで音声トラックだけが必要な場合に使用。ポッドキャストや音声素材の作成時に最適です。 |
AVID AAF | Avid Media Composer向けにプロジェクトデータをエクスポート。 DaVinci Resolveで編集したプロジェクトをAvid Media Composerで編集するために使用します。 |
Pro Tools | オーディオ編集ソフトPro Tools用にエクスポート。 サウンドデザインやミキシングをPro Toolsで行う際に使います。音声トラックの書き出しに特化しています。 |
クイックエクスポートを使った簡単な書き出し方法
DaVinci Resolveの「クイックエクスポート」機能を使用することで、複雑な設定をしなくても、簡単に動画を書き出すことができます。とりあえず動画を書き出してみたいときなどに利用してみましょう。
STEP1:クイックエクスポートメニューを開く
編集が完了したら、「カットページ」または「エディットページ」の右上にある「クイックエクスポート」をクリックします。
上部メニューの「ファイル >> クイックエクスポート」からも開けます。
STEP2:エクスポートプリセットを選択
クイックエクスポートメニューが開くと、いくつかのプリセットが表示されます。利用したいエクスポートプリセットを選択して「書き出し」をクリックします。
STEP3:保存場所とファイル名の設定
「書き出し」をクリックすると、ファイル保存先の指定ができます。ファイル名もここで変更可能です。
ファイル名を入力したら「保存」をクリックしましょう。書き出しがスタートします。
STEP4:書き出し完了後の確認
書き出しが完了したら、指定した保存先で動画が正常に書き出しされているか確認しましょう。
DaVinci Resolveで書き出しできない原因と対処法
原因1:ディスクスペースの不足
書き出しをするためのディスクの空き容量が不足している場合、書き出しが途中で止まったり、エラーが発生したりします。
書き出し先のディスク(外付けドライブや内蔵ストレージ)の空き容量を確認し、ストレージの空き容量を増やすため、不要なファイルを削除や外部ストレージに移動します。
原因2:ファイル形式やコーデックの問題
書き出し設定で選択したファイル形式やコーデックが適切でない、またはサポートされていない場合、エクスポートができないことがあります。
ビデオの書き出し設定からコーデックを互換性の高い形式に変更しましょう。MP4形式ならH.264、またはQuickTime(MOV形式)を選んでみてください。
原因3:GPUメモリ不足や設定不具合
GPUメモリの不足や、レンダリング時にGPUを使う設定に問題があると、書き出しが失敗することがあります。
「環境設定 >> メモリー&GPU」に進み「GPU処理モード」を確認し、Autoや適切な設定(CUDAやOpenCL)、または他のアプリケーションを閉じてメモリを解放します。
原因4:タイムラインのイン点・アウト点の設定ミス
イン点とアウト点が適切に設定されていない、または意図しない範囲が選択されている場合、書き出しがうまくいかないことがあります。
タイムラインのイン点とアウト点を確認し、正しく設定されているか、不要な設定があればクリア(Alt + X)することで解決する可能性があります。
原因5:メディアのオフラインエラー
プロジェクト内で使用している素材(動画、音声、画像など)がオフライン(ファイルの削除・移動などで見つからない状態)になっていると、正しく読み込みができず、書き出しに失敗します。
オフライン状態(赤く表示)になっているかを確認し、必要に応じて再度メディアの読み込みを行いましょう。
DaVinci Resolveで高画質な動画を書き出そう!
今回は、DaVinci Resolveでの書き出し方法について解説しました。DaVinci Resolveでの書き出し作業は、適切に設定することで簡単に行えます。とりあえず動画を書き出ししてみたい人はクイックエクスポートを試してみるものおすすめです。